禁断のプロポーズ

「ほら」
とガラス越しに向かいのビルを指差す。

 立体駐車場だ。

「いつもこれ見よがしに、玄関前の駐車場にとめるのに、あっちに入れて歩いてきたから、珍しいなと思って。

 真っ赤な変わった形の外車だから、交差点止まってると、目立つんですよね」

 此処に入らず、右折したので、見ていたら、立体駐車場に入れたという。

 なるほど、三階にそれらしき車が見える。

 なんだろう。

 落ち着かない。

 夏目は携帯を取り出した。

 未咲にかけてみる。

 が、すぐには出ない。

 おかしい。

 携帯を取りに行ったはずなのに。

 留守電に切り替わる寸前、未咲が出た。

『夏目さん、今っ、エレベーター!』

 それだけ叫んだあとで、携帯がなにかに叩きつけられ、転がる音がする。

 未咲の悲鳴が聞こえた。

「夏目っ!?」

 エレベーターホールに駆け出すと、克己や警備員もついてきた。

 階数表示を見ると、左のエレベーターが下りてくるところだった。

「未咲っ!」
とエレベーターを叩く。