禁断のプロポーズ

 


 いろいろと思い巡らしながら病院の廊下を歩いている夏目に、追いかけてきた克己が話しかけてきた。

「お前、最近、大胆だな、やることが。

 なに?

 もしかして、凄い危機感、感じちゃってる?」

 答えないでいると、

「そうだよねえ。

 なんだかあの二人の間には、割り込めないものがあるもんね」
とピンポイントで嫌なとこを突いてくる。

「社長の地位も、未咲ちゃんも、両方取られちゃったら、お前、大変だね」

「なんか楽しそうに聞こえるのは気のせいですか……?」

 いやいやいや、と克己は笑っている。

「まあ、もともと後継者レース、トップは広瀬専務って言われてたもんね。

 あの歳で専務なんて、大抜擢だし。

 お前が対抗馬で出てこなければ、ぶっちぎってたよ」

 いや、出馬した覚えもないのだが、いつの間にか、会長の隠し子であることがバレて、巻き込まれただけだ、と思っていた。

「専務がぶっちぎってたのは、切れ者だからって言うのもあるけど。

 ちょっと噂があったんだよね。

 専務は社長の甥じゃなくて、実の息子だって」

 足を止める。

「広瀬専務の母親と社長、秘書室時代に付き合ってたらしいんだ。

 それが突然、会長の二番目の奥さんの連れ子だった弟の方と結婚したんだよね。

 でも、結婚したときには、もう妊娠してたらしくて。

 社長に押し付けられて結婚したんじゃないかって噂だったけど」

 あれっ? と克己は言う。