禁断のプロポーズ

「気になってるんだろう?

 俺の血液型のことが」

「いやー、まあ、気にはなりますけど。

 智久さんがなにも確かめないと決めたのなら、それでいいと思います」

「……お前には検査しろと言っておいて。

 俺自身は怖いんだ」

 すべてを確かめるのが、と言う。

「何故、お前の姉さんが俺から離れようとしたのか」

「え」

「あいつの方が社内の裏事情に精通していたからな」

 智久はひとつ溜息をついて、外を見る。

 決していい眺めではなく、病院の側だと言うのに、工事をしているようだったが、それでも、智久はそこを眺めた。

「俺は自分の父親を尊敬している。

 人格的にも、仕事の上でも。

 あの母親と平気で暮らしてるところも含めてだが」

 えーと……。

「あの人の子供でないと知るのが怖いんだ」

 そう智久は言った。

「でも、もしかしたら、お父様はご存知なのでは?」

 智久がこちらを見る。

「貴方がおねえちゃんの浮気に感づいたように、お父様もそういうことには敏感なのかもしれません。

 育ての親子でも、いろいろ似ますからね。

 これは実体験ですけど」
と呟く。