禁断のプロポーズ

 医者に聞いたら、炭酸水はやはり駄目だった、と告げながら、未咲はビニール袋を見せる。

「一応、買ってはきました。

 冷蔵庫に入れておきますけど、先生がいいと言うまで飲まないでくださいよ」

「お前、帰る気か」
と言う智久に、未咲は当然のように言う。

「一旦、帰りますよ。
 荷物取ってきますから」

「駄目だ」

「なんでですか、もう。
 ワガママなんだから〜」

「荷物なら、俺が取ってくるから居てやれ」
と言うと、

「甘やかさなくていいのに」
と未咲は言うが、彼女自身が今、あまり動かない方がいいだろうと思ったのだ。

 此処なら人目があるから、少しは安全だろう。

「じゃあ、あのボストンバッグごと、お願いします、夏目さ……」

 帰ろうとする自分を見送りに出、そう言いかけた未咲を振り返る。

 扉に手をかけたまま、いきなり口づけた。

「こらーっ。
 此処は俺の病室だぞっ」

 わめく智久に、

「……あいつ、退院させていいんじゃないか、もう」

 元気過ぎる、と呟くと、未咲は苦笑いしていた。