禁断のプロポーズ

 智久には感謝はしている。

 だが、それ以上に、まずい、とも思っていた。

 未咲は弱っている男に弱い。

 腹から血を流していたら、殺し屋でさえ、助けてしまう女だ。

 ましてや、今回怪我しているのは、なんだかんだで、ずっと世話になっている智久だ。

 しかも、未咲をかばって怪我をした。

 いっそ、今すぐ俺がこいつを殺ってしまおうか、とまで妄想していると、智久が、
「なんだか殺し屋じゃなくて、今すぐお前に殺されそうなんだが……」
とこちらの目を見て言った。

「勘がいいな。
 ついでに訊いていいか。

 お前はどうして、未咲の姉貴と別れたんだ?」

「あいつが浮気したからと言わなかったか」

「なんであいつは浮気したんだ?」

 智久は黙っている。

「もしかしたら、未咲のせいか」

「それもあるかもしれない」

 智久は双方に黙っていた。

 未咲には、彼女の姉と付き合っていることを。

 姉には、未咲の面倒を長年見ていることを。