智久に言われ、未咲と克己は病室が出ていったあと、それを見送っていた夏目に、智久が呼びかけてきた。
「俺は殺し屋がすべての元凶に一票だ」
突然そんなことを言い出す彼に、夏目は、
「どうした?」
と訊く。
「……お前、水沢には敬語なのに、昔から、俺に敬語じゃないのは何故なんだ」
「なんでだろうな、なんとなく」
なんとなくで済むか、という顔を智久はしたが、
「まあいい」
と溜息をつき、
「今回の件も、未咲の姉貴が殺された件も、その殺し屋が関わったせいだとするなら、なんで、未咲は今まで無事だったんだろうな」
と言ってくる。
「未咲の方が姉貴より深くその男に関わっている。
何故、未咲は今まで狙われなかった?」
「気づかれてなかったんじゃないか?
その男と関わりがあることを。
あとで、一、二度会ったと言ったろう。
そのときにあの男の知り合いだとバレたんじゃないか?」
「で、殺されたのは、姉の方、と」
「なにが言いたい?」
と言うと、智久は疲れたように一度目を閉じ、
「……俺はもう嫌な予感しかしないよ」
と珍しく投げやりに言った。



