「本気だって」
と未咲の手を握りながら、克己は、内心、ヤバイ、と思っていた。
二重の意味で。
なんだか本当に本気になりそうな気がして。
それも落ち着かない、というか、怖い気がしたし。
女の子に本気になったことなど、今までなかったから。
そして、もうひとつ。
さっきは言葉を飲み込んでしまったが。
殺し屋と関わったら殺されるというのが本当なら。
何故、未咲は無事なのか。
もしかしたら、彼女の姉が殺されたのは――。
いつもの勘が告げている。
このまま未咲に関わるのは得策ではないと。
此処までうまく渡り歩いてきた。
会社から不要にされそうな上司も切り捨てて。
でも――。
克己は強く未咲の手を握り直す。
「あ、最近の病院って、カフェもあるんだね。
なんか飲んでく?」
「……炭酸水買いに来たんですよね、智久さんの」
ま、飲んじゃ駄目なような気もしますけどね、といつもあの悪魔の王子に振り回されているらしい未咲は、力なく言っていた。



