禁断のプロポーズ

 


 夏目を残して、病室を出た未咲は、閉めた扉をつい、振り返る。

「なんの話なんだろうね、専務。

 僕らを追っ払ったみたいだけど」

「……そうですね」

 そこで、克己が笑って言った。

「未咲は渡さんとか言う話かな。

 此処で聞いとく?」

「そんな話じゃないと思います」

 智久の顔つきが気になっていた。

「それに、智久さんがそんなこと言うわけないじゃないですか」

「でも、大事にされてるよね。

 今だってそう。

 専務がああやって怒鳴り散らしてくれてるから、あんまり気を使わなくていいんでしょ?」

 確かに。
 殊勝に大丈夫だ、とか言われたら、申し訳なくて口もきけなくなる。

 痛い、お前のせいだと怒鳴り散らしてくれる方が気が楽だ。

 あれも智久のなりの思いやりなのだろうか。

 単にいつも通りの彼のような気もするが、と思っていた。

「ところで、こうして、外歩いてても大丈夫?

 なんだかわからないけど、殺し屋に命、狙われてるんでしょ?」