禁断のプロポーズ

 それを聞いた夏目がぼそりと言う。

「犬なんて可愛いもんじゃないだろ」
と。

 じゃあ、私は一体、なんなんですかね? と思っていた。

「会ったのは、一度、……二度です」

 ちょっと気になることがあったので、思い出しながら、そう言うと、

「一度じゃなかったのか」
と夏目まで怒り出してしまった。

「いえ、一度目は、会ったっていうか。
 出会ったって感じで。

 二度目は、おねえちゃんが付いてきてくれたんです。

 それで、思ったんですけど。

 例の空き巣。

 おねえちゃんの日記を見つけたあとも、なにか探してました。

 もしかして……探してたのは、私の日記なんじゃないかと」

「未咲ちゃんの日記?
 なんで?」
と克己が訊いてくる。

「あの人のことが書いてあると思ったんじゃないかと思うんです。

 書いてないんですけど。

 そう、その辺のことは、ばっさり書いてないんですよ」

「この女、都合の悪いことは日記に書かないからな。

 姉とそっくりだ」
と智久が言い出す。

「そうですね。
 おねえちゃん、貴女のことを一字たりとも書いてませんでしたもんねっ。

 っていうか、やっぱり、読んでるじゃないですかっ、私の日記っ。

 だから、書かなかったんですよ、私っ」