禁断のプロポーズ

 



「じゃあ、犯人は逃げたままなんですか」

 ソファに腰掛け、コーヒーを飲みながら克己が言う。

 ぐずぐず言っていた夏目も一緒に座っている。

 未咲はそんな夏目の横顔を見ながら、機嫌が悪いな、と思っていた。

「あんなの、追う方が危険だろ。

 おい、なんで、そっちに座ってるんだっ」

 ベッドから離れた応接セットに座る克己たちに智久が文句をたれる。

「いや〜、丸椅子より、こっちの方が座り心地が良さそうだから。

 っていうか、側に来て欲しいんですか? 専務」

 克己は立ち上がり、ベッドのところまで言って笑うが、夏目は立ち上がらない。

「添い寝してあげましょうか?」

「いらん。
 大体、こんな狭いベッドで男が二人も寝られるかっ」

「未咲ちゃんも寝られないと思いますよ。
 残念ですね」

 なに言ってんだ、この人は、とこんなときでも相変わらずな克己を見る。

「でも、ほんと。
 特別室なのに、ベッドは普通なんですね」

「電動だけど、サイズ自体は、他のベッドと変わりなくて、小さいんですよ。

 このまま手術室に出たり入ったり出来るみたいで」
と言った未咲に、

「じゃあ、歩いて出入りするから、大きなベッドにしてくださいって言ってみたらどう?」
と克己は言い、

「腹切られてるって言ってるだろうっ」
と智久に怒鳴られていた。