「どうする?
帰ろうか、夏目。
なんだかあの二人、楽しそうだから」
とこれ以上なく楽しそうな、克己が言い、ぽん、と夏目の肩を叩いてくる。
あんたな……と思いながら、横目に睨んだ。
仕事を早々に片付けて、智久の見舞い、というか、未咲が付き添っていると聞いたので、克己とともに駆けつけたのだが。
薄く開いた扉から中を覗くと、二人は言い合いながらも、楽しそうにしている。
「これはこれで、初々しい夫婦みたいだね。
どうする!? 夏目っ」
先輩だが、殴ってやろうかと思った。
うちの家庭に波風立てて嬉しいのか、と。
そのとき、未咲が薔薇の花束を手に、こちらに来た。
「もうっ。
いい子で、寝ててくださいよー」
と智久に言いながら。
ヤバイ、と思わず、隠れそうになった。
よく考えたら、見舞いに来たので、見つかってもよかったのだが。
だが、未咲は、そのまま、室内にあるキッチンに向かっていってしまう。
ほっとしかけたとき、がらりと扉が開く。
花を一旦、キッチンに置いた未咲が戻ってきたようだった。
逃げ腰な自分を見て、
「なにしてるんですか、もう〜っ」
と両の腰に手をやり、言う。
「見舞いに来たのなら、入ってくださいよっ」



