禁断のプロポーズ

「あんた、あっさりしてるわね。

 なんだかさっきの様子を見ていると、専務が地の果てまで追いかけて行きそうだけど」

「来ませんよ〜。

 それに、私、全然あっさりなんてしてないですっ。

 私、実は飛行機苦手だし、海外も苦手だし。

 でも、なにより、夏目さんが好きなので、何処にでも行こうと思ったんです。

 極寒の地でも、毛皮着て、お酒呑んで耐えて暮らします〜」
とめそめそと語ると、はいはい、と言った桜は、未咲に、花束を渡してきた。

「兄妹だろうと、なんだろうと、あんたたちが一番幸せに思えてきたわ。

 それ、専務に渡しておいて。

 専務はしばらく休まれるでしょうから、調整で忙しいので帰りますって」

「いや、たぶん、此処まで仕事持って来いって言うと思いますけど」
と言うと、桜は少し寂しそうに笑う。

 そうね、と。

「それにしても、すごい薔薇ですね。
 なにかのお祝いみたい」

「お祝いじゃないわ。
 葬送の花束よ。

 私の恋の」

 そういえば、赤とは言っても、なんだか、どす黒いような赤色だ。

「そ、そうですか……」

 そんな縁起の悪いものを病院のベッドの横に飾っていいものだろうか、と苦笑いして桜を見送る。

 中に入ると、智久は何処かへ電話しようとしていた。

「なにしてるんですか」