禁断のプロポーズ

「すぐ戻りますよっ」
と指で智久の指を一本ずつ引き剥がして、桜を追いかける。

「桜さんっ」

「なによ」

 扉を開けたすぐのところに桜は居た。

「なんだ。
 居るんじゃありませんか」

「帰ろうかと思ったけど、あんたが追いかけてくるかな、と思って」

 手間を省いてあげたわ、と言う。

「お見舞いに来たんでしょう?
 入ってください」

「……まあ、此処まで来たんだから、顔くらい見て行こうかしら。

 上司だしね」
という言い方をする。

「なんなんですか。
 棘がありますね〜」

「あるに決まってるでしょ。
 今日、私の恋は終わったのよ」
と桜は言い出す。

「ええっ。
 なに勝手に終わってるんですかっ。

 桜さんには、智久さんの面倒を見てもらおうと思ってたのにっ」

「あんたこそ、なに勝手に決めてんのよっ。

 嫌よ。
 今日、専務があんたをかばって怪我したって聞いたとき、私の恋は終わったのよっ」