禁断のプロポーズ

 エレベーターから担架を抱えた救急隊員が駆けてくる。

「なんでかばったのか、考えない方がいいな」
と智久は呟く。

「ただの女子社員をかばった方が美談だ」
「はい?」

 死ぬの生きるのってときに、なに考えてんだ、この人、と思った。

 まあ、恐らく、そこまでの傷ではないが。

 ただ、出血はひどい。

 未咲は抑えていた手を離し、救急隊員と変わった。

 彼らも出血多量を心配したようだった。

「広瀬智久さんですね?
 検査はしますが、一応、血液型を」

「Rh−Bです」

「な、なんで、そんなめんどくさい血液型なんですかっ。

 そんな人は人をかばわないでくださいっ」

 心配して、思わず叫び、

「いやあの、大丈夫ですよ。
 ありますから、血液。

 登録されてる方も大勢居らっしゃいますし」
と救急隊員になだめられてしまう。

「Oじゃなかったですか?」

 佐々木が言う。

「専務の血液型……」

 さすが佐々木はそこで黙った。