禁断のプロポーズ

 智久は、ひとつ大きく息を吐いて言う。

「なんで、俺は刺された?」

「私をかばったからですよっ」
と言うと、

「そうじゃない」
と言って、少し考えている。

「なんで、お前をかばう必要があったのかな、と思ってるだけだ」

「薄情ですね〜」
と言うと、また、そうじゃない、と言われた。

「この位置からなら、俺が刺されなくても、お前を助ける方法はいろいろとあったはずだ。

 物の載ったワゴンも目の前にあったしな。

 なんで、自分の身体で止めたのか、考えてるだけだ」

「そうですか。
 じゃあ、救急車が来るまで、そんなことでも考えて、痛みを散らしててください」

 此処はあまり外の音が聞こえないので、救急車が到着してもわからないかもしれない。

 もしかしたら、会社から、サイレンは鳴らして来ないよう、指示されているかもしれないし。

 まだ来ないか、と落ち着かない気持ちで、エレベーターホールの方を見たとき、
「未咲、なんでお前、狙われた?」
 改めて、智久に、そう問われた。

「それは……実は思い当たる節があります。

 昨日、うちに空き巣が入ったんです。

 もしかしたら……

 おねえちゃんが死んだのは、私のせいかもしれません」

「どういう意味だ?」

「担架来ましたっ」

 ちょうどそのタイミングで佐々木が叫ぶ。