禁断のプロポーズ

 



 風呂を出た未咲は、ひとり、月を眺めながら、縁側を歩いていた。

 そのとき、塀の上でなにかが動いた。

 一瞬だったのだが、人の頭が現れ、消えたように感じられた。

 なに、今の……。

 誰かがこっちを覗いてた?

 水沢さんとかなら、なりそうだけど。

 それなら、すぐに、やあやあ、って笑いながら入ってくるはず。

 空き巣の入った家が珍しくて、覗いている野次馬だろうか。

 それとも、自分も入れるかと思って、覗いている空き巣?

 未咲は部屋に戻ると、障子を閉めた。

 もう一度、まだ鑑識が入ったときのまま、片付けていない部屋を眺める。

 なるほど、空き巣による箪笥の捜索はまだ途中のようだった。

 夏目が帰ってきたからだろうか?

 そもそも、空き巣が日記を持って逃げること自体おかしいし。

 もし、あの日記が目的だったのなら、犯人は、日記を手に入れたあと、なにを探していたのだろう。

 現金?

 ついでにと思ったのか。

 或いは、物取りの犯行と見せかけるためか。