禁断のプロポーズ

「いいじゃないですか。

 計画性がないから、今、此処に居るわけですし」

 しかし、やはり、足許がおぼつかなく、ひゃっ、と悲鳴を上げ、夏目の上に落下してしまった。

 水しぶきが上がる。

「殺す気かっ」
と怒鳴られ、

「……私たち、なんだかちっとも、ロマンチックじゃないですね」
と溜息をついた。

「そもそも、ロウソクはどうした」

「キャンドルって言ってください。

 仏間か、変な店に居るみたいじゃないですか」
と言いながら、だいぶん、目が慣れてきたので、手を伸ばし、開いたままのすりガラスのところから、キャンドルと着火ライターを取る。

 夏目が火をつけてくれた。

「お前、何個持ち込んでんだ」

「え。
 小さいのいっぱい貰ったんですよ。

 こんなときじゃないとつけないかなって。

 ばーんっと使ってみました」
と言いながら、それを風呂の周囲に置いてみる。

 ぼんやりと浴室が温かい光に照らし出される。

「なんだか、レストランに居るみたいですね」

「服を着ないでか」

「……夏目さん、ロマンがないですよ」
と言うと、

「お前の方がない」
と言われる。

「くだらないことばっかり言いやがって」
と言いながら、夏目は肩に手を回して、引き寄せると、口づけてくる。