禁断のプロポーズ

 では、今回入ったのは、空き巣ではない。

「ま、とりあえず、智久さんではないですよね。

 私と一緒に居たし、あの人なら、いつでも、私から盗れますから」

「……簡単に盗られそうだしな」

 ひょい、と盗られて、高く掲げられ、パン食い競争のように、ぴょんぴょん飛ぶ自分の無様な姿がすぐに浮かんだ。

 盗られそうだ……。

 だが、智久はあの日記は姉が意図的に書き換えたものだと知っている。

 わざわざ盗らないだろう。

 あの日記に、出ていない人物が怪しいのではと以前、思った。

 だから、バンバン出ている夏目は怪しくないと。

 あの考えは正しかった。

 一字も名前の出てこなかった智久が姉の恋人だったのだから。

「でも、おねえちゃんは、夏目さんのことも気になってたんじゃないかなーと思います」

 家に入りながら、そんなことをもらすと、うん? と夏目が振り向く。

「智久さんに疲れて。

 夏目さんと話すのがいい気分転換になってたのかも。

 二人とも正反対なようで、似てるし、似てるようで、全然違うから」