「それはたぶん、君のお母さんの味だよ」
思わず、箸が止まった。
「もしかして、僕は、君にその味を届けるために、彼女と出会ったのかな」
と言い出す。
それからが話の本編だろうと思うのに、克己は、
「じゃあ、思い出話は此処まで。
いただきます」
と自らも食べ始める。
「克己さん……」
続きを促すように呼びかけた未咲に克己は、
「食事中は楽しい話しかしないことにしてるんだ」
と言う。
「そうですか。
じゃあ、私もやめときます。
私が何故、素直に夏目さんを好きと言えないかについて話そうかと思ったのに」
夏目が、
「何故、今、此処で話す……」
と呟き、ようやく顔を洗ってきた桜が、
「聞きたい聞きたい」
と身を乗り出してきた。
克己が彼女を軽く睨んで言う。
「平山、寝すぎ」
「いいじゃないですか。
睡眠不足だと、お肌荒れるんですからー」
それでそれでっ、と桜は未咲の横の椅子を引き、訊いてくる。
「これ、ちょっと問題のある話なんで、誰にも話さないでくださいね。
実は、この話は――」
専務も知りません、と言いかけて、危うく踏みとどまる。
そういえば、智久とのことは、克己しか知らないと気づいたからだ。
思わず、箸が止まった。
「もしかして、僕は、君にその味を届けるために、彼女と出会ったのかな」
と言い出す。
それからが話の本編だろうと思うのに、克己は、
「じゃあ、思い出話は此処まで。
いただきます」
と自らも食べ始める。
「克己さん……」
続きを促すように呼びかけた未咲に克己は、
「食事中は楽しい話しかしないことにしてるんだ」
と言う。
「そうですか。
じゃあ、私もやめときます。
私が何故、素直に夏目さんを好きと言えないかについて話そうかと思ったのに」
夏目が、
「何故、今、此処で話す……」
と呟き、ようやく顔を洗ってきた桜が、
「聞きたい聞きたい」
と身を乗り出してきた。
克己が彼女を軽く睨んで言う。
「平山、寝すぎ」
「いいじゃないですか。
睡眠不足だと、お肌荒れるんですからー」
それでそれでっ、と桜は未咲の横の椅子を引き、訊いてくる。
「これ、ちょっと問題のある話なんで、誰にも話さないでくださいね。
実は、この話は――」
専務も知りません、と言いかけて、危うく踏みとどまる。
そういえば、智久とのことは、克己しか知らないと気づいたからだ。



