禁断のプロポーズ

『今日は、いい天気だ。

 ベランダに出て、洗濯物を干しながら、街の景色を眺めていると、なんだか気持ちよく。

 こんな風にして、普通の主婦みたいに暮らしたいな、と思ったりもする。

 でも、やっぱり、あの店に夜、食べに行きたいから、お金いるし。

 この間見た服も買いたいし。

 仕事は辞められないかな。

 だけど、洗濯物入れるときに、ベランダで椅子に足を引っ掛けて、すっ転んで汚したり、まあ、主婦も向いてないかな、とは思う。

 秘書はもっと向いてなかった気がするけど』

 おねえちゃんもこんなこと思ったりしてたんだ、と共感した。

 桜もそう思ったようだった。

 でも気になった。

「二箇所、引っかかったんです。

 おねえちゃんが住んでいたアパートのベランダは狭くて、椅子なんて置いてません。

 もうひとつ。

 街の景色って。

 せいぜい、あのアパートからは、下の商店が見えるくらいなんですけど。

 こんな書き方って、高層マンションか、高台にあるアパートじゃないとしない気がするんですけど」