みなが寝静まった頃、未咲は、むくりと起き出した。
そっと部屋を抜け出そうとしたとき、足音を忍ばせた克己が来た。
「こんばんは」
と背にした月の明るさまでも、気にしながら言う。
「私が行くんじゃなかったんですか?」
と小声で問うたが、とりあえず、入って入って、と辺りを気にしながら、部屋に押し戻そうとする。
「君、来るまでに、なにかやらかしそうだから」
克己は短く来た理由を告げた。
いつものように、からかって言っている風にはなかった。
「座っていい?」
部屋に入った克己に、そう訊かれ、頷くと、彼は行儀よく布団を避けて座る。
「さて、なにから訊きたい?」
「水沢さんは、おねえちゃんと付き合ってたんですか?」
「またストレートだねえ」
と彼は笑う。
「違うよ」
「じゃあ、なんであそこの記述で引っかかったんですか?」
克己が姉の日記の中で、気になっていたらしい箇所は、此処だ。



