夏目が帰ってきたときには、料理はすべて出来上がっていて、克己が何故か、
「お前の出番はなかったな」
と勝ち誇っていた。
美味しい料理を食べ、呑んでいたとき、桜が何故、この会社に入ろうと思ったのか。
入ってみてどうだったのかを語り出した。
「やめて。
大真面目に言わないでよ。
ほんとにおかしな子だね。
面接官になった気がしてきて笑っちゃう」
と克己はウケていた。
「克己さんは、なんで、入ろうと思ったんですか?」
ふと、未咲が訊いてみた。
「え?
安定した大きな会社だから」
「面白くもなんともないですね〜」
「夏目。
お前、嫁のしつけがなってないよ」
もっと客が喜ぶ受け答えをしつけろよ、と言い出す。
「しつけようにも、出会ったばかりなので」
と夏目はもっともな答えを返していた。
「遠崎はなんで?」
と彼とは同期の桜が訊いている。
「俺は――」
言おうとした夏目の答えを邪魔するように、克己が、
「なんでもなにもない。
父親の会社だからだろ?
コネ入社だ、コネ入社」
と言って、笑い出し、夏目は渋い顔をしていた。
「それとも、父親はお前のこととか、なにも知らなくて、まだ見ぬ父親会いたさに入社したとか?」



