禁断のプロポーズ

 



 今日は朝から忙しく、佐々木も桜も出払っていた。

 誰も居ないのと、忙しいので、
「はいっ。
 総務から回ってきた分ですっ」
と書類を智久の机の上に、どんっと置くと、智久は顔をしかめたあとで、ふと、眉をひそめ、

「なんだ、夏目と寝たのか」
と言ってきた。

「……貴方、超能力者ですか」

「止めたのにな」
と呟き、智久は、ちょっと考える風だった。

 眼鏡を外し、椅子に背を預けた彼は、こちらを見、
「俺は止めたぞ」
と言い訳のように言ってくる。

「なんなんですか、もう〜っ」

 訳がわからないので、イラついて、そう言ったが、答えない。

 追求するのを諦めた未咲は、ちらとガラス張りの廊下を見、まだ誰も来ていないのを確認して、訊いた。

「なんでわかったんですか?」

 智久は肘掛に肘を載せたまま、手を組み、
「いつもより、肌の調子がいいからだ」
と言ってきた。

 ろくでもないな、この人。