「早くにその情報を掴みすぎて、それで殺されたとか」

「隠し子発覚程度で誰かが殺したりしないだろう」

「わかりませんよ。
 原因は些細なことでも、どう話がもつれるかわかりませんから。

 特に、おねえちゃんが誰かの愛人だったのなら」

「そこは別に確定じゃないぞ。

 そういう噂があっただけだ。

 誰のかもわからないし。

 単に、見た目と雰囲気でそう言われてたのかもな。

 お前は言われないな、絶対」

「ちょくちょく失礼なこと言いますよね、貴方」

「ただ色気がないと言ってるだけだろう」

 いや、それが失礼だと言ってるんだが……。

「大丈夫だ。
 俺はそのくらいが好みだ」

 うーん、と唸る。

 まあ、人にどう思われようとも、夫になる人にいいように思われていれば、それでいい……ような、悪いような。

「話、それちゃったじゃないですか。

 おねえちゃんが誰かの愛人だったのなら、仲のいい貴方が会長の隠し子だとわかって、そっちに行ってしまうと思って、殺されたとか」

「お前も姉さんに失礼なこと言ってるぞ」