禁断のプロポーズ

 どのみち、夏目に細かいことを訊いたところで、女性の持ち物など覚えてはいなさそうだ。

 そういう意味では、智久の方が使える。

 時折、お前、これ持ってなかったろう、とか言って、いきなりポン、とブランドもののバックをくれたりするから、なにを所持しているのか覚えているのだろう。

「もしかして、イヤリングの辺りに、なにか隠してたりして」

「見てないのか?」

「見ましたけどね。
 でも、ざっくりとだから」

 じゃあ、点検してみるか、と夏目はついて来てくれた。