禁断のプロポーズ

「まあ、そうかもしれません。

 貴方はこの日記に一番多く名前が出てくる人ですから。

 だから、近づいたんですが」
ともらすと、おいっ、という顔をされる。

「最初から誰かに見られることを想定して書かれたものなら、大量に名前が出ている貴方は怪しくないです」

 ふん、と言った夏目は、
「俺が怪しくないとわかってどうだ」
と訊いてくる。

「え?」

「俺はもう用なしだろう。
 出て行くか?」

「えっ、嫌です」

 そう迷うことなく言っていた。

「言ったじゃないですか。
 此処には、美味しいご飯と素敵な家と」

 顔をしかめた夏目に言う。

「……夏目さんが居るから」

「本気か?」

「ま、ちょっと」

 ちょっと!? という顔をされた。

「だってー、わかんないんですってば、私、誰かを好きになるとか」

「誰も好きな男は居なかったのか」

 うーん、と迷ってしまう。

「気になる男は居たのか」

「気になるといえば、気になるような」

「誰だ?」

「追求、鋭いですね〜」