禁断のプロポーズ

「ひょいひょいその辺に物を置いておくから、こんなややこしいことになったんだ。

 片付けろ。
 人の家かと思って」

「片付いてるじゃないですか」
と訴えると、

「お前の片付いてると、俺の片付いてるは違うんだ」
と言い、智久はソファに腰掛ける。

 日記をめくった。

「あっ、もうっ。
 勝手に人のものを」
と取り返そうとすると、読みながら、ひょいと交わし、

「此処は俺の家だ。
 此処にあるものはすべて俺のものだ」
と言い出す。

「性悪な地主みたいですねえ」
と腰に手をやり、智久を見下ろすと、彼は日記を見たまま、

「そう。
 だから、此処に住んでるお前も俺のものだ」
と言い出す。

「今は住んでませんよ」

「まあ、夏目に叩き出されるまではな。

 あいつも几帳面だから、そのうち、お前に嫌気がさして、出て行けと言うに違いない」

「そのわりに、専務は出てけと言いませんね」

「アパート借りてやったろう」

 就職活動をするのに、問題があるので、自分の名義で部屋を借りた。

 金を出してくれたのは、智久だが。

 まあ、このマンションも智久の持ち物というだけで、彼が此処に住んでいるわけではないのだが。