「未咲ちゃんっ」
うわっ、と未咲は手を滑らせる。
いきなり、肩を叩かれたからだ。
克己が背後に立っていた。
小声で、
「明日の夜行くね。
なにか食べたいものある?」
と訊いてくる。
「夏目の許可はもらったから」
「えーっ。
そうなんですか。
じゃあ、食べたことのない美味しいものが食べたいです」
「……また難しいこと言うね」
「だって、朝ごはん、すごく美味しかったですっ」
と力説すると、そうかそうか、と嬉しそうに頭を撫でてくれた。
「じゃあ、またなにか考えるよ。
ところで泊まっていい?」
いや、最初からそのつもりですよね、と思っていると、
「襲わないから」
と言う。
「課長が居るのに、なんにもしないでしょ」
そう言うと、
「あ、居なかったら、してもいいんだ。
じゃあ、早い時間に行くよ」
と言ってきた。
「すみません。
二人一緒に帰ってきてください……」
と訴える。



