禁断のプロポーズ

 そういうことってあるな、と思っていた。

 仕事上、とてもいい人なのだが、一緒に呑むと会話に詰まったり。

 ロクでもない人間なのに、遊ぶときには、不思議に息が合ったりする。

 得体の知れない志貴島未咲が、気になったり、一緒に居て、心地よかったりするように。

「台所使ってよければ、なにか美味しいもの作ってあげるよ。
 じゃ」
と行こうとして、

「ああ、それから。
 僕に敬語やめてよね。

 僕にも立場ってものがあるんだから」
と言う。

 そんなこと言われても、水沢さんは水沢さんですよ、と思っていた。

 自分が役職についたからと言って、彼が世話になった先輩であることには、変わりない。

 まあ、部署が違うので、世話になるのは、専ら、呑み会などでだったが。

 克己は今でも、新人が緊張していると、側に来て盛り上げてやっている。

 世話好きなんだな、と思っていた。

 ……ちょっとなに考えてんだか、わからないところがあるけど。

 克己の料理が好きだと言っていた未咲を思い出し、未咲が聞いたら、喜ぶかな、と思って、少し微笑んだ。

 まあ、自分が伝えなくとも、先に克己が言っていることだろうが。