禁断のプロポーズ

 



「なに渋い顔してんのよ」

 桜に言われ、未咲はサンドイッチを食べていた手を止めた。

 今日は二人で、会社の前の公園に来ていた。

 最初に夏目にプロポーズしたときに、来ようとしていた公園だ。

「いや、食欲なくて」

「さっき、ポトフも食べたじゃない。
 食欲ないんじゃなくて、食べ過ぎよ、それ」
と言われ、未咲はサンドイッチを膝の袋の上に置いた。

「これは恋なのでしょうかね?」

「は?」

「実は、課長の家に、イヤリングが落ちていたんです。

 誰のなのか気になって」

「あら、そんなの、誰か遊びに来た女が落としたんじゃないの?

 集団で来た誰かかもよ」

「桜さん、課長と同期ですよね。

 集団で課長の家に遊びに行ったこととかありますか?」

「……ないわね。

 大学とか、高校の友達かもよ」

「でも、私の寝てる和室なんですよ。

 位置的に、遊びに来たお客様を通すような場所ではないです」

「じゃあ、誰か、その部屋に泊まった女が忘れてたったか、故意に置いてったんでしょ。

 他の女にプレッシャーをかけるために。

 ま、いまどき、そんな古典的な手を使う女が居るのか知らないけど」

「うーん。
 でも、かなりわかりにくい場所だったので、わざととは、考えにくいですね。

 実際、寝起きしている私でさえ、今まで気づかなかったですし」

 大掃除で、箪笥の隙間になにか突っ込めば気づくかもしれないが。