お風呂を入れたあと、せっせと布団を敷いていた未咲は、箪笥の角に小指をぶつけた。
地味に痛い。
指に意識を向けなきゃいいんだ、と他所を見る。
痛みを感じまいと思いながらも、悶絶していた。
おや? と思う。
古い和箪笥と和箪笥の間になにかがある。
埃かと思ったが、そうではないようだった。
手を伸ばし、取ってみる。
「これって……」
緑の小さな石がついたイヤリングだ。
……イヤリング。
片方だけのイヤリング。
おばあちゃんの……
じゃ、ないよな。
「未咲」
という声が背後から聞こえた。
ひっ、と身をすくめ、思わず、それを隠してしまう。
何故、隠す、私っ、と思いながら、振り向くと、夏目が、
「風呂……」
と言いかけた。
「あーっ、忘れてたっ」
この家は風呂も昔風なので、勝手に止まったりしない。
「もう止めておいた」
と言われ、申し訳ございません、と頭を下げる。
「俺はちょっと、持って帰った仕事があるから、お前、先に入れ」



