禁断のプロポーズ

 


 死ぬほど胡散臭い女だな、と未咲の後ろ姿を見ながら、夏目は思っていた。

 だが、気になる。

 昔、友人が、明らかに悪い女に引っかかっていて。

 無粋だと思いながらも、一応、みんなが忠告したのだが、
『そうだとわかっていても、騙されたいんだよ』
とその男は言っていた。

 悪女の魅力というやつらしいが。

 未咲は、そういったものから最も遠い位置に居そうな女なのに、なんだかわからないが、騙されそうだ。

『社内でも、俺より、気になる奴が居るだろう』

 そう言った自分の言葉を思い出す。

 そう、例えば……。

「……広瀬智久とかな」

 そう呟いたとき、

「うわっ」
と未咲の叫ぶ声が聞こえた。

 またなにやってるんだ、と苦笑する。

 あの間抜け具合に、きっとみんな気を許してしまうのだ。

 自分も、平山も、水沢も……

 そして、もしかしたら、広瀬智久も。