禁断のプロポーズ

 そう心の中で詫びながら、とり繕うような笑みを浮かべていた。

「ところで、姉貴の話の方は進展したのか」
と夏目が話を変えてくれたので、ほっとする。

「えーと。
 ……いや、全然ですね」

「完全に姉妹なわけじゃないとか言っていたが」

 夏目はそれを聞き出すチャンスを窺っていたようだ。

「そうなんですよ。
 まあ、見てたらわかるでしょ。

 お姉ちゃんみたいな色気は私にはないですしねー」

「そりゃないが」

 あっさり言うな……。

「でも、お前の方が可愛い気がする」

 えーと。

 この人、時折、真顔でこういうこと、言うからな。

 食事時に目も合わせなかったりするのに。

 なんなんだろうな、と思っていた。

「ところで、式はいつにするんだ」

「え?
 なんのですか?」

 沈黙が流れてしまった。

 また睨まれそうなので、慌てて、次の言葉を出す。

「えーと。
 本気ですか?」

「本気で結婚するんじゃなかったら、お前は何故、今、此処に居る」

 夏目の鋭い目線と、口調に、なにかこう、軍人さんに尋問されてる気分なんですが、と思った。