「長く話し過ぎたわね……ごめんなさい……」

「いえいえ、大丈夫です!2人を止める方法を思いつきましたから!」

もし、今の状態でもとの見和さんに戻ったら、南天さんのナイフが刺さり最悪の場合死んでしまうだろう。本当はわかっているはずだ。何事もバランスが大事だということを。

「ストップ!武器を手放してください!」

「急にどうしたんだ!?」

見和は南天に攻撃するのをやめた。それを見て、南天さんも刀を鞘に収めた。

「見和さん、今のあなたはいつもの見和さんではありませんね」

こう言っている自分も、意識が別の何かに乗っ取られているような感じがする。

「そうだ。私は見和の中に在る、反論する存在だ」

「何故、こんなことをしたのですか?」

「見和は自分の怒りや悲しみを押さえつけ、自分をいじめた奴も許そうとした。このままじゃ、心が壊れてしまう……」

今はわかる。反論する存在とはなにか。いつもは見和さんの心に在るけれど、見和さんがネガティブな感情等を押さえつけたことで、どんどん不満が大きくなってきて反論する存在は暴れだしたんだ。押さえつけていると、心は壊れるから。

「大丈夫、見和さんに言っておきます。あなたはもう疲れたでしょう。これからの仕事に向けて、休んでください」

「ありがとう……」

反論する存在は、意識を見和さんに返した。そして、もとの見和さんが目を覚ました。

「あれ……私、何してたんだっけ……?」

今までのことを思い出そうとしている見和さんに、さっきのことを伝えた。見和さんは、

「ありがとう。もう、感情は押さえつけない」

と、言った。