「熱は?あるんじゃない?」
「ああ、熱は下がりました。」
家にいた3日でほとんど下がった。市販の解熱剤も効くし、それは大丈夫だと思う。
「そう。良かったわね。」
服を着るのもアマネさんが手伝ってくれて、申し訳ない気持ちでいっぱいになった。
「…しばらく、寝てなさい。また後でくるから。それに、ここ人来ないから大丈夫よ。念のため鍵はかけて行くけど。」
「どこかへ行くんですか?」
「あんたねえ…一応あたしも授業受けなきゃなんないのよ。」
右頬をぽりぽり掻きながらアマネさんが言った。
ああ、と僕は思う。
部屋を出て行くアマネさんを見送って、天井のシミを見ているうちに僕は眠りについた。
僕が見つけた、たった一つのアマネさんの癖。
聞かれたくないことを聞かれた時の、癖だ。
アマネさんは一体、何をしているんだろう。