身長くらいのフェンスを乗り越える。


今日は風がふいていなくて、生ぬるいような空気がまとわりついてきた。



下は、職員用の駐車場。


上には、真っ青な空が広がっている。





―――いい天気だ。




少し風があればもっと過ごしやすかったのかもしれない。



















『飛び降りろよ!』



さっき聞いた、嫌いな声を反芻する。




――馬鹿みたいに毎日毎日殴られるのにも、飽きた。疲れた。


ここから飛び降りればどうなるかくらいわかるけれど、それもまあいいかな、と思う。








フェンスから手を放し、一段高くなっている屋上のふちに足をかけた。