「そんな……」

ようやく言葉をしぼり出すと、信じられないような顔で涼を見た。

「紗江が浮気を?」

「君が疑ったんだろう?」

「そうですけど。まさか、本当に……」

力なくそばにあった椅子に座りこむと、うめき声を出す。

その肩に涼の右手が置かれる。

「で、太一。これからどうするつもり?」

「……これから?」

ぼんやりと、顔をあげた太一は宙に視線をさまよわせた。

「そう。大場紗江が浮気をしていたことが判明した。その上で、これからもつき合っていけるのか?」