お年頃な女子には目にも耳にも毒な台詞を簡単に口にする雅。
「 俺が、オオカミ。椿ちゃんは 赤ずきん… どうしよっか?」
赤ずきん… それなら簡単。
「 オオカミは赤ずきんに負けるんで食べられずです、残念 」
それが物語だもんね。
「 …それが正論だとは思えないね。物語じゃなく現実だからな 」
どういう意味ですかっ!
「 雅くん、先生って立場はわきまえるべきかと 」
つまり、これが正論。
「 椿ちゃん、教師であろと 単なる男には変わりないんだよ 」
そ、それも 正論……
私 危ない?
数歩もない たったの一歩の距離にいる雅。
「 俺、意外と椿ちゃん好みなんだよな 」
意外と? 意外とはなんですかっ
「 雅くん、私 葵が好みなんです 」
「 俺は兄貴だから 好みだろ?欲張りさんだな 」
雅くん… やっぱ 頭のネジ足りないんじゃないの?
「 聖奈さんとはどんな知り合いですか?」
私の目の前でニコニコしていた雅の顔から笑みがピタリと消えた。
じっと私を見る雅、私は聞いてはいけない事を聞いたのかと内心 冷や汗だった。
「 …知りたい?」
真面目な顔で言う雅に 私は何となく一歩下がる。
「 も、もうすぐ葵たち帰ってくるかも… 外 見て来ようか、な…」
くるりと方向転換し 私は玄関の方向に向いた。
えっ…
背後から 私は雅に抱きしめられた。
「 椿ちゃん、逃げるの? 」
に、逃げます!安全第一ですっ

