お隣さんと内緒の恋話


葵と聖奈の一歩後ろを歩く私。

目の前にいる二人をすれ違う人が見ていく。


私は…いる?


そんな感じだ。


なんか、おかしくない?

私が葵の隣で歩くべきじゃないの?

なんでこの二人がカップルっぽいわけ!

葵も少しくらい振り返りなさいよっ


「 椿、俺 聖奈さんと買い物行ってくるから 待ってろよ 」


そう言って葵が自宅の鍵を私の目の前に差し出した。


この光景に私がどうするか…

女として彼女として、どうすべきか…

悩み、頭の中で一言叫ぶ。

バカヤローッ!!


「 うん、じゃあ 待ってるね 」


物わかりのいい彼女を選んでしまった。

二人に手を振り見送る私はポツンと一人。

聖奈に悪意の欠片もないのはわかる。

でも、私は葵の笑顔には悪意を持つ。

時間は6時を回って夕暮れも終わるころ、私は葵の自宅の窓から外を眺めていた。


…遅い、遅い、遅い!

1分が長いし、まだ 1時間も経ってないけど!


私は ブスッとした顔でいるところに 雅が帰宅してきた。


あ… 雅くん帰ってきた。


車を降りて私の顔を見る雅がニッコリ笑い窓越しに無言で立つ。


な、なに? なんで入ってこないの?


「 あの… おかえりなさい 」

「 ん、ただいま。椿ちゃん 」


やたら ニヤついてない?


「 いいよな、こういうの。俺の帰りを見つめて待ってるなんてな 」


ん? いやいや、違うから。