お隣さんと内緒の恋話


葵と二人、外に出ると 葵が私に手を差し出した。

その手を私は 少し照れながら握ると、葵に引っ張られた。


「 離れるなよ 」

葵… 離れるわけ ないじゃん!


「 葵こそ、離れないでね?」

イチャイチャしてるよね、これ。


「 離す気ないし 」


私を覗くように顔を傾け言う葵に キューンとなった。


今 鼻血出たら 葵のせいだから!


公園までブラブラ歩き、コンビニでジュースを買って 向かう。

公園に着くと思い出す記憶。

柚奈が壮真に告白した時の事、私はあの時、葵を盾にして隠れていた。

ダサ男と呼んで視界にすらなかった葵が 今は彼氏として私の隣にいる。


懐かしいって言ったら変だけど、あの時は ただのダサ男だったのに…


「 椿、この木、覚えてるか?」

「 うん、もちろん 」


にっこり笑みを見せると、葵が私の頬に触れて 私は一瞬 目をとじた。

ふいに近づく葵の気配に、ドキドキした。


葵…

「 …聖奈さん?」


はっ?


目を見開いた私は 自分の名前じゃない 名前に驚き 耳を疑った。


今… 聖奈って、言ったよね?

私 椿だし…


「 葵?名前 間違えてるんだけど…」

「 いや、合ってる… 」


はっ!? な、なにっ、なんなのっ


「 椿、ちょっと 待ってろ 」

「 え、あ、ねぇ 葵!!」


突然行ってしまう葵を呼び止めるも 走って行く葵。

私は葵を少し追いかけ先を見てみると、葵がある女の人のそばに立った。


誰…

聖奈って人?

葵……