玲音のあまりの鈍さに反論をやめた私。


「 なに、西脇は俺が織原と付き合ってるって言うのか?」

「 言わないよ、ヤボは嫌いだ。禁断は端から見るのが一番だからな、椿、がんばれよ 」


は?

何をがんばれと?

私を好きって、本気じゃないじゃん。

本気なら奪ってやる!ってなるでしょ、なんだったの…

勘違いしすぎだよ。


大きく ため息つく私に、雅が クスッと笑った。


「 先生!笑ってる場合じゃないから! 私たち 玲音に付き合ってるって誤解されたんだよ? 私は葵と… 」

「 しっ!来い 」


えっ…


「 ちょ、先… 」


本棚奥にあるカーテンを手に取る雅に 私の視界は暗闇に包まれた。


何事っ!?


気づけば雅の手が私の肩を抱き寄せている。


これは… なんてこと!?

誰か来たの?見られちゃマズいけど 悪いことしてないし、そんな関係でもないし!

でも 雅くん…いや、先生と二人でいて カーテンの中で抱きしめられちゃってて、どうなのっ

ダメじゃーん!


葵~ 助けてぇ…


「 椿ちゃん、なんか こういうの楽しいな 」


はあ?


「 雅くん… まさか、わざとだったりする?」

「 誤解されたついでに どんなもんかと思ってさ、人目を凌ぐ恋、ドキドキだよな 」


この人は ほんとに もうっ…


「 雅くっ…」

「 し~、今 葵と代わるから許せ 」


へ…… 葵?


カーテンが捲られ、明るい視界に見えたのは 葵の姿。


葵…


「 葵っ!」


私は雅からすぐさま葵に向かって踏み出した。

きゅっと抱きしめる葵の腕に安堵する。


「 雅… 椿をオモチャにすんじゃねぇ!」


うわ、葵が怒ってる…


「 まぁまぁ、葵。ちょっとしたイタズラだろ、許せ。椿ちゃんの笑顔は お前だけのもんだ 」


クサッ! 雅くん、そのセリフは意味ないよ。


「 ほら、鍵 渡しとくよ。ごゆっくり~ 」


雅は葵に図書室の鍵を渡して出て行った。


「 椿、大丈夫か?」

「 葵… ごめんね、私…」

「 聞いてた、全部。いいよ、言わなくて 」


き、聞いてた!?

うそ~ 恥ずかし… いや、そうじゃなくて。


「 私が好きなのは 葵…っ 」


わ、わ、わぁ… 図書室でキス…


少し長いキスに 意識が酔う。

嬉しさと恥ずかしさ、フワフワ、ドキドキで胸がいっぱいだ。


「 俺の方が 好きだから 」


見開いてしまう私に、葵が またキスをする。

葵と交わす甘~いキスに、手をしっかり繋ぐ。


私… 鼻血出ても後悔しないよ。