お隣さんと内緒の恋話


「 あの 上山先生… 」


助け船を!!


「 織原、西脇に選ばれたのか?」


あ、ムカつく… なによっ


「 椿、また話そうぜ 」


え、また!?


「 玲音、待って! 私、ごめんっ 」


振り返らず行ってしまう玲音に 私はおもいきりため息つくと、雅はクスッと笑い 近づき声のトーンを押さえて口開く。


「 椿ちゃん、なかなかやるじゃないの?」

「 なんにもないです!」

「 またまたぁ 聞いてたもんね。葵が知ったら 怖いよな~」


ちょっ、なにそれ!!



「 なんにもないんだから別にっ… 玲音が勝手に誤解して告白なんかしてきただけだもん!
私は葵が好きなんだからっ 」


私は言うだけ言って雅から離れた。

雅は そんな私を笑みを浮かべながら見ていた。


まったくもう、雅くんって目が3つあるんじゃないの?

頭の後ろとかさ。

で、葵はどこなの?


机回りを探すと、一人本を片手にして読んでいる葵がいた。

窓際にいる葵に陽射しが当たり、その姿に私は つい 棒立ちで見入っていた。


葵… なんか、キレイだよ。


「 はい、見つめすぎ禁止。見つめるなら本な 」


雅くんっ!?


「 見、見てません!」


んもう、おじゃま虫~


私はさりげなく葵が座る前に本を置いて座った。


私ってば わざとらしい!

でも、この静かな場所で好きな人が目の前にいるなんて ちょっとドキドキだよ~


私に気づいた葵が、チラリと見てすぐ本に目を向けたが 私にははっきり見えた。

葵の顔には笑みがあった。

それだけで 私の恋心が何倍にも跳ね上がる。


私、単純だなぁ…