お隣さんと内緒の恋話


つい、意地を張って 手助けはいらないと口にしながら 内心 待つ私。

私がまた背伸びをした時、ベッドが軋み 私の背にある空気が変わった。

私の肩に左手が置かれ、背中越しに葵が私の手からカーテンを取り上げ付けてくれる。

踊ってるのかと勘違いするほど、ドキドキ、バクバクと跳ねる心臓。


鼻血出る前に破裂しちゃいそうだよ、ヤバイ…


一つ一つ取り付けるたびに 葵の体重が少しかかる。

数分で付け終わったカーテン、私は動けずいたが 葵も動かないままいた。


どうする? 振り向く?

笑顔見せちゃう?それしたらアホっぽい?

葵が好きだから、緊張して動けないじゃん!

一人内心でブツブツ呟く私を、葵が私の体を反転させた。


「 わっ… 葵、ビックリするじゃん!」


葵を見上げると、真剣な顔をして私を見つめている。


えと…

「 葵?どうし… 」


ふいに近づく葵にドキドキした。

葵……


私は 目をゆっくり閉じた。

左肩には葵の温もりある手、右耳を挟むようにある葵の右手。

自然に引き寄せられる互いの唇。

頭の中には何もない。

微かに触れる感触があるような小さな感覚。

重なると思われた唇は 高く響いたインターホンに止められてしまった。


ちょっ! な、なんなのっ……


パッチリ互いに開く目に、恥ずかしさより 誰かに邪魔されたことにムッとした。

インターホンが再び鳴り 我に返る私と互いに顔を背け、私は顔に火が付きそうで ごまかすように玄関に向かった。


もう、ほんと誰よ…

タイミング良すぎだし!

せっかく 葵といい感じだったのに…


そっと玄関ドアの除き穴から見ると、雅が立っていた。


は~ 先生じゃん…

また先生… わざと?どっかから見てる?


「 …はい、どちら様?」


玄関前にいるのが先生の雅だとわかっているが
声をかけてみる。


「 椿ちゃん、俺、雅だけど 」


わかってます!


「 はい、どうぞ。葵いますよ 」

「 知ってる。葵、帰るぞ~ 」


え… 連れてっちゃうの!?