「 ちょっと~ ダサ男じゃん!なんで、どうして? 椿、なんで一緒にいるのっ」
「 未英!そんな言い方っ…」
やめて と言おうとした瞬間、葵が何か言おうと口を開いた。
「 俺は… 」
何を言おうとしたのかわからないが、また 雅が横から口を挟んできた。
「 彼も知り合いなんだよ。だから、君たちも会ってないフリしてくれる?この二人は たまたま 見つけて食事に誘ったんだよ 」
うまいこと言ったなぁ…
「 そうなんだぁ わかりました!上山先生との秘密、守りますね。椿も安心して? ついでにダサ男もね… じゃ、先生またね!」
はぁ…
秘密厳守成立って感じ?
未英も恵子も単純すぎ。
それにしても 葵まで知り合いで通すなんて どうかしてる…
「 先生、ほんと嘘つき 」
「 椿ちゃん、先生じゃなくて、雅くんと呼びなさい。ね?」
聞いてないし…
「 葵、大丈夫?」
実の兄に知り合いだなんて言われたらショックだよね…
葵は、ほんとは すっごくイケメンなのに…
「 俺は平気。帰ったらカーテンつけるよ 」
葵…
「 ありがと!」
楽しみだよ。
「 葵、椿ちゃん、そろそろ出ようか?また誰かに会わないうちに 」
それもそうだなぁ、仕方ないか~
私は葵と雅と一緒にファミレスを出る事にした。
未英と恵子は笑顔で先生に向けて手を振っていた。
きっと未英と恵子は雅との秘密を絶対に誰にも話さないと思う。
秘密の内容がどうというより、先生との秘密の約束が何より大切に思えるから。
好きな人相手なら 尚更だ。
雅はそれをわかっていて 未英たちに秘密だと言った。
車に乗ると雅が言った。
「 プライベートまで詮索されたくないからな、葵が俺と兄弟だって知られたら 今の俺みたいに まとわりつかれるし、葵が俺の事を聞かれたり… 嫌だろ?」
「 先生… 」
もしかして、葵のために兄弟って事を隠してるの?
私ってば… 先生に嘘つきって言っちゃった…
「 先生じゃなくて、雅くん!わかったら返事!」
ん~ ちょっと いい人って思ったのに…
雅くん、かぁ~ ほんとに呼んでいいのかな?

