お隣さんと内緒の恋話


そんな嫌な事を一瞬思えば 案外 誰かに偶然会ったりしてしまう。


「 あー!上山先生~ 」


え、え? なになに?


黄色い毎日聞いている声に振り返ろうとして、私の横をスッと横切る女が二人。


あ… 学校の…


見れば 雅に好意を持つ同級生二人。

一人は同じクラスの 未英(みえ)、隣のB組にいる恵子。

恵子は1年の時に同じクラスだったが、特別仲良しというわけではない。

未英も似たような仲だ。

二人は雅しか目に入ってないのか、私や葵には目を向けない。


「 先生、何でいるの~ すごい奇跡!」


ん~ 奇跡とは言わないでしょ。


「 君たちもランチ?チキン美味いよ、オススメ 」


出た!上山先生スマイル。


嘘っぽい…


「 じゃあ、私たちもチキン食べます!上山先生、席に来てよ~ 一緒に食べたい 」


あ~ 言い考えだよ、うん。


「 あれ、椿じゃないの?」


よく気づきましたね~ 今頃。


そして未英に聞かれた。


「 やだ、ほんとに椿じゃん!何してんの?え、先生と一緒ってなんで… 」


あははは…

「 あ~ うん…ねぇ… 」


それは気になるよねぇ、なんて言おう?


聞かれて困る私を庇うように、雅が話し出す。


「 織原とはちょっとした知り合いなんだよ、でも…
学校じゃ秘密。だから、君たちも 先生のために秘密にしてくれないか?」


う、うまい… さすが先生!

先生と秘密なんて言われたら嫌でも頷くよね?


思ったとおり、秘密という言葉に惑わされる未英と恵子。

秘密とすれば、逆に詮索しない。

詮索すれば雅との秘密の約束を破ることになるから。

安心したのも束の間、私の横にいる葵に気づく未英と恵子。


「 椿… あんたの隣にいるのって、まさか… 」