食べ始めた私たち、雅は笑顔でいるのに対し 葵は口数少ないまま、時折 私と一言を交わす。
元々 よく話す方ではない葵、雅は笑みを絶やさず相手をよく見て会話するけど、対照的な二人。
普通なら、学校の女子達と同じように雅に惹かれるだろう。
でも私はダサ男で有名な葵に惹かれた。
見た目 ダサ男だが、本当は雅と同じ。
私には葵がダサ男には見えない。
「 椿、ステーキ… 」
「 くれるの? ありがと~ 」
葵に差し出されたステーキを私は手でではなく、あーん!と口を開けた。
照れはあっても、嬉しいため素直に口を開けたが、ステーキが口に入る寸前でステーキが消えた。
「 ああっ!先生、ダメ~ 」
「 ん。美味い!」
きゃ~ 葵からのステーキがぁ…
「雅っ!!」
ひどーいっ
開いた口が塞がらない私は ガッカリするだけ。
葵は勝手な雅に呆れたのか、怒らず貝になってしまった。
先生… もしかして さっきの 仕返し?
「 椿ちゃん、引っ越しは片付いた?」
「 まだです、明日もあるし… カーテンは葵がつけてくれるから 」
「 なんだ、カーテンくらい俺がつけてやるのに 」
軽く言うなぁ…
女連れ込んで葵に怒られたくせに。
「 先生、先生こそ… 」
「ストップ!今はプライベート、先生はナシ。雅って呼んでって言ったはずだぞ?」
そう言うわりには先生口調じゃん…
でも、葵みたいに呼び捨てにはできないし、なんて言えば…
「 あの… じゃあ、雅さんって呼んでも?」
「 おっさんじゃないんだから… 雅くんがいいな?」
先生を君呼び?
学校の誰かにバレたら恐ろしい…

