お隣さんと内緒の恋話


葵に投げつけた言葉が かえって出たくなくさせたのか不安に思った。


葵… 出てきてよ、拗ねないでよ…

玲音は友達だもん。


私はそう思うも ひとつ気づいた。

葵だって、友達…

私は葵の彼女じゃないのに、なに勝手に熱くなってんだろ…



「 バカみたい、私… 」

「 織原?」

「 上山先生、私 帰るね。葵によろしく… 」



雅にそう言うと私は自宅に入った。


雅は鼻息ひとつ、自宅に入ると葵に声をかけた。


「 葵、何拗ねてんだ?織原は西脇とは付き合ってないぞ? たまたま会って、西脇のお母さんがここまで送ってくれたらしい。
それで、織原が目眩起こしたのを西脇が支えていたとこに 俺たちが来たと… 葵、お前、情けないぞ?」


黙ったまま聞いていた葵は頭をクシャリとし、思い立つようにして部屋を出て行った。


「 まったく… 世話が焼ける奴だな 」


雅は呟きながら微笑んでいた。

葵が私の部屋をノックしたのはその時だった。

私は すぐに葵だとわかりドアを開けた。


「 葵!もう、遅いよっ カーテンつけてよね 」

「 ごめん… 」


呟くように小さく言った葵に背を向けてベッドに置いてあるカーテンを取りに行こうとした。

でも、私は取りに行けなかった。

葵に背中ごと抱きしめられていたから…



葵…

私… 葵に抱きしめられてる?よね…



「 …葵? どうしたの…」

「 ごめん 」


なんで謝るの?


動けない私と、葵の静かな息づかいだけがある部屋。

緊張と戸惑い、溢れるドキドキがいっぱいで何をどうしたらいいかわからない。

背後から抱きしめられていては顔が見えない。