アパートまでは車なら数分程度の距離。
長く感じる空気感に、私は思わずバックミラーを見ると、同じように葵の沈黙が変に感じたのか雅とミラー越しに目が合った。
苦笑しているだろう雅に、私はハラハラしていた。
アパート駐車場に着くと、葵は静かに車を降りて一人スタスタと長い足で先に自宅に行ってしまった。
葵… もしかしなくても 機嫌悪い?
「 はは、葵はわかりやすいな。西脇とデートしてたのか?」
はっ!?
「 ちょっと先生!何言ってんのっ、違います!
たまたまスーパーから出たら玲音がお母さんといて送ってくれようとしてただけです 」
玲音は友達、何でもないんだから!
あれ、でも…
「 先生、私と玲音… デートしてるように見えました?」
「 うん、抱き合ってたろ?」
んなっ… うそ~
そんな風に見えたのっ!!
「 ち、違いますからね!あれは、私が目眩起こしてフラついたのを支えてくれただけっ
全然 抱き合ってません!」
先生からそう見えたなら、葵にも?
やだ、違うのに…
「 先生!私っ… 」
「 おう、行ってこい 」
私の言いたい気持ちがわかるのか、後押しするような一言。
私は駆け出して部屋のドアをノックした。
「 葵、私だけど… 開けて?」
返事がないため、私は後ろにいる雅を見た。
雅はニッコリし、もう一度と 声なく指差した。
一度小さく深呼吸し、私は葵に向かって言った。
「 葵!カーテンつけてくれる約束でしょ!やってくれないなら玲音呼ぶからっ」
それでも返事はなかった。
葵… なんで?
私が悪いの? 玲音といたから?
わかんないよっ……

