お隣さんと内緒の恋話


玲音に降ろしてほしいと頼んだ私は ようやく止まった車から降りた。


が、しかし…


「 玲音?なんで降りるの?」

「暇だし、買い物付き合うよ 」


えっ!? マジでっ

そんな、困るって!!

アパートすぐそこなのに、ほんとは買いたい物なんかないし…

葵や上山先生のこともあるし…


「 あの、玲音?私暇じゃないんだけどな~ 」

「 100均とスーパーに一人で行ってたくらいだし、暇だろ?ほら、どこ行く?」


玲音…

私の話 無視したな!

暇なのは玲音でしょうがっ


玲音のお母さんは 玲音と私を降ろしてすぐに行ってしまった。

困惑する私は頭が痛い。


もう、どうしよう!?

アパート帰れないよ~


「 なぁ 椿… お前、好きな奴いる?」

「 えっ!?な、ななな、なにっ 」

「 なんだ、いるのか?」


いるとか いないとかじゃなくて、急に聞かれても困るよ…


そう思いながら 頭には葵がポンッと浮かぶ。

私はそれを消すように頭を左右に振る。

いきなり頭を振ったせいか、クラッと目眩に襲われた。


「 椿… おい、大丈夫か!?」


私の肩に手を置き支えてくれた玲音。

眉間に手をあて目眩が治まるのを待っていると、クラクションが鳴らされ 横を通り過ぎ止まる車から雅が降りてきた。


せ、先生っ!? なんで…


「 織原?どうしたっ 」


あ~ 先生 来ちゃダメ!!


そう思っていると、助手席側から出てきた葵が私を見た。


葵っ…


「 先生… あの、大丈夫です!もう平気なんで、はい 」


玲音といるとこ葵に見られた…

どうしよう!?

勘違いとかしないよね?



「 そうか?西脇 玲音…だったな、織原を送るから帰っていいよ 」

「 わかりました。…椿、ごめんな?先生に送ってもらえよ、またな 」


玲音… 葵に気づいてない?


私は玲音に ありがとう と言うと、雅が私を車に乗せてくれた。

車が発進するとホッとしたのも束の間、葵の沈黙が気になった。