お隣さんと内緒の恋話


100均内で あちこちうろついて、窓を目隠しするためのシートやジェルシールをカゴに入れ、食器類がある売り場に行き必要な物を選びカゴへと入れる。


ミルクパン?

これって鍋?

とりあえず買ってみよ~


葵用に箸とコップ、なぜか勝手に茶碗まで選んだ。

雰囲気も重視するため ランチョンマットも。

女は見るだけでも かなり時間を潰せてしまうもの。

見ていて自分本意な妄想すら出来てしまうほど楽しい。

葵の物は当たり前に色違いにして買った。

満足した私は100均を出てすぐ、隣接するスーパーに寄って お弁当も買った。

そして一旦 自宅まで帰ろうとした時、スーパーの出口で声をかけられた。


「 おい、椿!」

「 え… あ!玲音 」


私に声をかけたのは玲音、そして横には玲音のお母さん。


「 玲音、えらいねぇ お母さんの手伝い?おばさん、こんにちは 」


挨拶する私に玲音のお母さんは微笑み、先に車へと行った。


「 暇なら付き合えって無理矢理だよ… 椿は?」

「 私も買い物だよ 」

「 そっか。あ、終わったんなら送るよ、お袋の車だけどな 」


そう言ってくれた玲音だが、私は迷った。

でも、玲音が迷っている私から荷物を取り、車の方へと歩きだした。


「 ちょっ、玲音?」

「 いいから。乗れよ 」


いや、乗れよって… 玲音の車じゃないじゃん?


半ば強引に送られる私は 葵が ふと頭によぎった。


一人暮らし、まだ みんなには内緒にしたいんだよね…

だって 溜まり場になったら困る。

それに、このままだと団地に行っちゃう!


「 玲音、私 あの先にあるコンビニで降りるね。買いたい物あるし 」


なんとか アパートに一人で帰らなきゃね!